日本神話の描く官能肌

2011.03.31

女の美醜は何で決まるのだろう。バランスだ、と私は思うが、人によって意見は違う。私の夫は「口元だ」と言う。「口元にはその人の品が出る。品がある人は美しい」というのだ。いや胸だ、目だ、足だと、部分にこだわるのは男に多い。が、『源氏物語』を書いた平安中期の紫式部は、女には珍しい「部分派」であった。『紫式部日記』で彼女は、「ふだんうちとけている時は、まともじゃない容貌も見分けがつくが、ばっちり化粧して、人に負けじと装った女は、美しい絵のようで、ほとんど美醜の見分けもつかない。ただ年とっているか若いかが髪の衰えで区別されるくらいである」としつつ、「ただし」と言う。「扇で隠した顔の上のほうの。額つき(おでこ)が不思議と人の容貌を上品にも下品にも見せる。このようななかで優れていると見える人こそ、絶世の美女といえるだろう」人の美醜は「おでこ」で決まるというのだ。長くて美しい黒髪や色の白さが美人の条件とされていた当時にあっても、これは意外な見方だとは思うが、貴婦人は人前では扇で顔を隠すことの多かった平安時代ならではの美人観といえる。
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