海外で宝石を買う時に、注意してほしいことがもうひとつあります。それは宝石の「偽名」(フォルス・ネーム)です。本場の奄美大島の紬でもないのに、韓国で織っても「○○大島紬」と呼ぶように、少しでも商品のイメージアップをしようと、本名と違うのに、本物と似た名前を宝石に付けることが海外ではよく見受けられるのです。知人が、タイのバンコクで「素晴らしいルビーが10万円で安く買えた!」と、喜び勇んで私のところに鑑別を頼みに訪れました。私が「この石は、本当に店の人がルビーっていって説明してくれたの?」と友人にたずねましたら、「え、そうだよ、バラス・ルビーって説明してくれたよ」と答えてくれました。実はこの石の正体は「ルビーとそっくりさん」ではありますが、残念ながら、価値もかなり低いレッドスピネルという、ルビーとはまったく種類の違う宝石で、当時、日本で購入しても、1万〜2万円で手に入れることのできる品質のものでした。このように、宝石知識が乏しい日本の観光客は、かっこいい偽名に騙されることも多いようです。注意していただきたいのは、この宝石店の店員は決して、私の友人を騙したのではなく、正直に「バラス・ルビー」と説明しており、「ルビー」とはひと言も説明していない点です。海外旅行も気軽に行くことのできる時代ですが、くれぐれも海外での宝石購入にはご用心ください。