舞台照明の分野において、特殊照明家として名をはせる藤本隆行氏。京都市立芸術大学の有志が立ち上げたマルチメディアパフォーマンス集団「ダムタイプ」に1987年から属し、いち早くコンピューター制御による照明技術を取り入れ、新しい表現を開拓し続けてきた。「私の使っている技術の根幹は、90年代の初めに出てきたもの。80年代半ばに来日したローリー・アンダーソンなどのマルチメディアアーティストの作品に触れた影響もあると思います」92年ごろにはビデオプロジェクターによる映像を舞台に導入し、97年ごろにはSMPTET(シンプテイ)という信号を使い、映像と音とを同期させる演出を取り入れていた。藤本氏の担当する照明の領域では、当時、DMX512(通信プロトコル)によって明るさや点滅の速さをコントロールできる、データフラッシュというストロボを使い始めていた。しかし、制御機材の関係で、音との同期のパターンが限られるなどし、映像と比べて制御技術が遅れている印象だったという。ダムタイプ時代、劇場に入ってからは役割を決めていたとはいえ、クリエイションでは分担にこだわらず意見を出し合い、ひとつの作品を練り上げた。2001年以降、藤本氏の活動は、ダムタイプ以外のアーティストとのコラボレーションが多くなる。組む相手が変わり、初めてのコラボレーションとなる際にも同様のプロセスで作品に臨み、抵抗なく、むしろ楽しんで新たな提案や技術を融合させていった。