僕の傍らにはいつの間にか少女が立っていて、凛とした表情でそれを見つめていた。「どうしてそんなことしてくれたの?まるで汚い身体なのに。もう醜く腐っていたのに」「俺にはそうは思えなかったんだよ。自分の人生の址後を看収っている気持ちに近かった。それに丁寧におばさんの身体を拭っていて、この人は実は素晴らしい人なんじゃないか、とさえ思えたんだ。なんというかある意味、人間らしい、というか。俺にはそれがまるでない。彼女の死体から感じたのは彼女の真摯なエネルギーだ。まるで知らない人だけれどこの人が死んでいるのを俺が見つけたことは、何かの運命のような気がした。実際、死体を見たのもこれが初めてだった。俺にないものをこの死体は持っていた。尊敬したんだと思う。この醜さという真実に」「俺にないもの?」「充実感とかワイルドな生き方」「そう。とにかく全力で生きた人だったわ。全力で人を愛した人だったわ。何度も裏切られ、何度も殴られた人だったわ。奇妙な秘密の物語を話していい?」「どうぞ」少女は唇を舌で少しだけなめ、吐息をついて話し始めた。